【変な家 雨穴】 読了後の感想

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先月ようやく話題の一冊を手に取りました。
映画化もされ、SNSなどでもたびたび話題になっていた雨穴さんの『変な家』です。

私が雨穴さんを知ったのはYouTubeがきっかけでした。
偶然おすすめに出てきた動画で、『変な家』の導入部分を紹介していたのを観たのが最初です。
その不気味で不思議な雰囲気に惹かれ、「これは本でじっくり読んでみたい」と思い、今回ようやく読了しました。

『変な家』は、たった一枚の間取り図から始まる恐怖の物語です。最初にその設計図を見たときは、少し変わった間取りだなと思う程度でした。しかしページをめくるごとに、その異様な構造に隠された恐ろしい真実が少しずつ明らかになっていきます。

物語の展開は非常に巧妙で、読者の警戒心を和らげたところに衝撃的な真実を突きつけてきます。ある家族の平凡に見える日常の裏に潜んでいた闇が、一人の女性の介入をきっかけにじわじわと表面化していく過程は、まるで上質な推理小説を読んでいるかのような面白さがあります。

この作品が他のホラー小説と一線を画すのは、単なる驚かしや血なまぐさい描写に頼らず、日常に潜む狂気を描いている点です。読み進めるうちに、静かに背筋を這い上がってくるような恐怖に包まれます。そして、読み終えた瞬間にすべてのピースがはまり、ぞっとする戦慄が襲ってきます。これは、どこか現実にも起こり得るかもしれないという、リアルな怖さがあるからこそでしょう。

特に印象的だったのは、物語の中で何度も訪れる展開の転換点です。そのたびに、最初から読み返したくなるような驚きや発見がありました。

短時間、2〜3時間ほどで読み終えることができる手軽さも、この作品の魅力の一つです。しかしその読後の余韻は非常に長く、日常生活のふとした瞬間にこの物語を思い出し、改めてぞっとすることもあります。それこそが、この作品の持つ本当の恐ろしさなのかもしれません。

『変な家』は、軽く読めるのに深く心に残る、非常に「コストパフォーマンスの高い」恐怖体験を提供してくれる作品です。ホラーが苦手な人にも、ぜひ一度読んでみてほしい一冊だと思いました。

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